盃は、日本でも最も歴史のある酒器といわれています。古くから神事に用いられてきた、特別な器です。いまでも、結婚式やお正月などには盃が好まれています。
ただ、盃には、日常の暮らしでも使える魅力がたくさんあります。そんな盃についてご紹介します。
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長い歴史を持った酒器、盃について。
盃とは、古い文書では「酒坏(さかつき)」と書かれ、これがのちに「盃(さかずき)」に変化したといわれています。坏という字は杯とほぼ同じ意味ですが、主に土の器には「坏」、木の器には「杯」が用いられます。室町時代になると漆塗りの瀟洒な器が好まれるようになりましたが、それまでは器と言えば土器が主だったことため「酒坏」と表記されていました。古くから神事などにも用いられてきたことから、いまでも特別な日に盃を使う風習がのこっています。
大切な人とのつながりを強める、盃のいわれ。
神前式の結婚式では「三献の儀」として、盃を交わします。これを「三々九度」の作法で飲み干すことで、契りを結ぶ儀式です。さらに古くは親子盃や、兄弟盃といった言葉もありました。盃を交わすということは、疑似的な血縁関係を結ぶことになります。また、自らの意思でこれを飲み干すことには、神様の前で誓いを立てるといった意味があります。
特別な、由緒正しい酒器でもある盃。
大相撲や天皇杯などの優勝杯のことを、特別に「賜杯」と呼びます。これは天皇から下賜される特別な「杯」のこと。大きなトロフィーのイメージが強いですが、今でも、叙勲などにおいては盃が贈られています。天皇から下賜されるものですから、純銀製のものや漆塗りの三段重ねの盃など、大変に美しいものが用いられています。