周年事業が決まったら「誰に」「何を」伝えたいかを整理しましょう。
周年事業は、関係者に感謝を伝える大切な機会です。関係者といっても、それぞれの立場によって、周年の意味は変わるでしょう。まずは、相手のことを考え、伝えるべきメッセージを整理することから始めましょう。対象としては、社員・従業員、お客様、取引先、株主・出資者(金融機関)、地域社会などがあります。それぞれ見ていきます。
〇社員・従業員へ伝えたいこと。
会社という言葉には、「人が集まるところ」といった意味があるそうです。また英語のcompanyは「仲間」という意味でもあります。企業やお店の主役はそこで働く人たちです。周年の喜びを分かち合い、未来に向かって進んでいくためには、まず社員・従業員の方々へのメッセージが大切です。メッセージを出す目的を決め、「企業理念の再確認」や「ビジョンの再確認」などの目標を定めて実行していきましょう。
・社員・従業員に伝えたいこと/企業理念の再確認
周年記念は、歴史を振り返る最高の機会です。創業時の想いや、乗り越えてきた困難を改めて確認することで、良い企業文化を受け継いでいくことができるでしょう。社史を制作することも有効です。また社史を作る際には、専門業者に発注して出来上がったものを配るよりも、社員の手で作る方が良いとされています。社内に社史編纂プロジェクトを作り、社員がインタビューなどを行って多くのスタッフを巻き込んでいくことで、より意義深い社史ができるでしょう。
・社員・従業員に伝えたいこと/会社のビジョンの再確認
ビジョンとは、企業が理想とする「あるべき姿」のイメージです。ビジョンが明確にあり、社員一人ひとりがこれを共有していれば、チームワークや日々の仕事へのモチベーションが向上します。周年事業においては、企業の存在意義や描いた夢を再確認することで、未来に向けて一致団結できるように、ビジョンの共有を図りましょう。
〇お客様へ伝えたいこと。
あらゆる企業は、お客様がいなければ成立しません。お客様に支えられて周年を迎えられたのですから、最大の感謝の気持ちをお伝えしたいものです。それと同時に、企業やお店のブランドの浸透を図るのにも、最高の機会となります。
・お客様に伝えたいこと/ブランドの意思を浸透
「ブランド」を伝えるといことが、最も大切です。ブランドとは、もともとは牧牛に押した焼き印のことで、他社と区別するための印でした。そういう意味で、あらゆる企業やお店はブランドです。ブランドの価値とはお客様の心の中に作られるものです。社名やロゴも大切ですが、技術力やセンスの良いデザイン、さらにはスタッフの誠実な対応なども、ブランドイメージを形作る要素となります。周年事業では、式典を行うケース、記念品を贈るケース、またキャンペーンを行うケースなど、様々な形が考えられますが、いずれの場合でも、その企業の好ましいブランドイメージが表現できるよう工夫したいものです。
〇株主・出資者(金融機関)へ伝えたいこと。
あらゆる企業には、出資をしている人がいます。非上場の企業では、出資者が経営を兼務することも少なくありませんが、その場合でも銀行などが融資をしているケースがほとんどでしょう。資金とは、企業にとって血液のようなもの。リスクを背負って資金を出してくれる人は、企業にとってかけがえのない存在とです。
・株主・出資者の方に伝えたいこと/信頼感の醸成
資金の提供や融資をしている人にとって、最大の関心事は事業の健全性でしょう。もちろん決算書などもチェックしていますが、それと同じくらい経営者のビジョンや企業文化、スタッフたちのモチベーションといったことも、企業の健全性や成長力を測る上で大切な要素といえます。周年事業をきっかけに、出資者に安心と期待感を与えられるように意識しましょう。
〇取引先様へ伝えたいこと。
仕入れ先や協力関係にあるパートナー企業は、事業を推進する上での大切な仲間です。取引先に良い仕事をしてもらうためには、自社の目指すビジョンや理念をよく理解してもらう必要があります。
・取引先に伝えたいこと/感謝の気持ち
日頃の協力に対する感謝の気持ちを伝え、取引先との共存共栄やビジョンを実現するために協力してほしいことを率直に伝えましょう。考え方や理念を共有することで、より建設的なパートナーシップの構築にもつながるでしょう。
〇地域社会へ伝えたいこと。
企業が存続していくためには、地域社会との良好な関係が欠かせません。事業を続けてこられた感謝の気持ちを見える形で伝えたいものです。地域の一員としてその発展に貢献していきたいという意思を明確にすることで、前向きな関係性の構築にもつながります。
・地域社会に伝えたいこと/地域の一員としての責任
企業として地域の子供たちへ援助をしたり、自然を保護するための活動をすることも良いでしょう。また、日頃から継続的に取り組んでいるものがあれば、周年をきっかけに取りまとめたレポートを作成してもよいかもしれません。