伝統的な金箔を、現代の食品衛生の基準で。
金を食用として使う風習は伝統的なものです。かつては、「切り廻し」と呼ばれるものが一般的で、これは金箔を四角く揃える際にでる切れ端のようなものです。いわば余り物の再利用という側面もあったようです。金は極めて安定性の高い物質で、体内で溶けたり吸収されることがありません。そのため、人体には無害とされています。ただ金箔が安全だとしても、製造するプロセスが衛生的でなければ食品としての安全性は確保できません。
金を食用として使う風習は伝統的なものです。かつては、「切り廻し」と呼ばれるものが一般的で、これは金箔を四角く揃える際にでる切れ端のようなものです。いわば余り物の再利用という側面もあったようです。金は極めて安定性の高い物質で、体内で溶けたり吸収されることがありません。そのため、人体には無害とされています。ただ金箔が安全だとしても、製造するプロセスが衛生的でなければ食品としての安全性は確保できません。
食品として幅広い人にお届けするには、食品業界特有の厳しい衛生規準をクリアしなければなりません。これを達成するために、箔一では2005年に工場を新しくし、その年に導入されたばかりのISO22000の取得に取り組みました。ISO22000は「食品安全マネジメントシステム」とされるもので「食品衛生管理基準であるHACCPを品質管理基準であるISO9001に準拠して運用するための要求事項を規定したもの」と定義されています。国際的にも信頼度の高い規準であり、当時、この取り組みは、北陸地方にあっては大変に先進的なものでした。
HACCPとは、潜在的に危機が潜む場所を予見し、あらかじめ対策をして制御することを目指します。一般的に、食品製造のプロセスの中では、様々な危機が発生しています。そのプロセスを解明し、予防的にフォローすることによって、全体の安全性を確保することができます。ただ、私たちにとって大きな困難がありました。当時、食用金箔の製造としてHACCPに取り組んだ前例がなかったため、危機が発生するポイントの見極めが非常に難航しました。外部のコンサルタントの先生にも手伝っていただきましたが、この作業で1年ほどの期間を要しました。
安全管理では、プロセスに関わる全てのスタッフが高い意識を持って取り組むことが必要です。私たちは、金を溶かすところ、延ばす作業、さらに箔にするために打つ工程なども自社で行っていますが、こうした全ての工程において安全性に配慮をしています。食用金箔に触れるものについては、全ての製造工程で、衛生基準を満たした安全な素材を使っています。
こうした取り組みを続けてきた結果、食用金箔は広い場面で使われるようになりました。かつては、日本酒に入れたり、婚礼やおせち料理といった特別な席での利用がメインでしたが、今では日常的に楽しむスイーツや、スナック菓子などにも採用されています。見た目の演出を楽しむ食材として多くの人に好まれているのです。