雛人形のスタイルについて
平安時代から1000年もの伝統を持つ雛人形。そのスタイルにも様々なものがあります。ここでは、代表的ないくつかの雛人形についてご紹介をします。
基本は親王飾りか段飾り
雛人形の中で、代表的なものは2つです。つまり「親王飾り」と「段飾り」です。
親王飾りについて
「親王飾り」とは男雛と女雛の2体だけを飾る方法です。親王飾りは一段だけで飾るため場所を取らず、現代的なインテリアにも調和させやすいことも魅力です。
コンパクトなサイズを求める方や、2人目、3人目の女の子用に贈りたいという方にも人気があります。
現代のライフスタイルに合うことから、モダンな印象のある親王飾りですが、歴史的にはこちらのほうが古く、江戸時代の初期ごろまでは親王飾りが主流だったと言われています。
コンパクトで出し入れがスムーズな親王飾り
親王飾りの「親王」とは皇位継承権のある皇族男子の呼び名です。雛人形の男雛と女雛は皇族の結婚式をモチーフにしているとも言われており、両陛下のような仲睦まじい幸せな結婚ができるようにとの願いも込められています。多くは、屏風と飾り台がセットになっており、そこにお雛様を飾ります。親王飾りは段飾りのように御付きの者はいません。
コンパクトなスタイルが魅力とは言え、決して簡易版というわけではありません。
ぼんぼりや燭台などの小物がセットになっていたり、衣裳に伝統工芸の技法や高級感のある装飾が施されていたり、上質なつくりのものも多くあります。また、親王飾りの場合、座った状態の「座り雛」だけでなく、立った姿勢で飾る「立ち雛」を選べるのも特徴です。男雛は凛々しく、女雛はかわいらしい立ち雛も、品が良く人気のあるスタイルです。衣裳がより美しく映えるのも魅力です。
歴史的に見ても、江戸時代ごろまでは立ち雛が主流だったといわれています。箔一の「金沢箔布木目込 雛人形 皇宮雛(こうぐうびな)」は、純金箔表装仕立ての屏風に上品な顔立ちの立ち雛が並ぶ格式高い雛飾りです。独自の技法を施した金箔布のしなやかで艶やかな輝きが魅力です。華やかな十二単の衣裳はこの上なく美しく、本物の伝統工芸品ならではの高級感を醸しています。
小さいながらもこだわりのある親王飾りで、大きさよりも質を重視した雛人形を探している方におすすめです。
飾り台に収納できる「収納飾り」
親王飾りは、雛人形を収納するケースがそのまま飾り台になる「収納飾り」が多いのも特徴です。飾るときも片付けるときも、お人形から小物まで全てをひとまとめにでき、出し入れが大変にスムーズで、大切に扱いたい人にもお勧めです。収納飾りの飾り台は見せることを意識した美しい装飾や模様がついている一方、湿気を防ぐなど、収納に適した機能性も考慮されています。現代のスタイルにあったお雛様のかたちと言えるでしょう。
箔一の親王飾りは、伝統的な技法を施した飾り台が特徴です。これは、収納にもなっており、雛人形を大切に守ってくれます。想いを込めた雛人形だからこそ、飾るときのことも片付けるときのこともしっかりと考えておきたいものです。
段飾りについて
「段飾り」は三段、五段、七段とした階段状の飾り棚が特徴です。お内裏様とお雛様をはじめとして、三人官女や五人囃子、笛太鼓など大勢の人形を飾っていきます。童謡「うれしいひなまつり」にあるような飾り方と言えば、わかりやすいかもしれません。この段飾りは江戸前期ごろからのものと言われており、昭和以降になって多く作られるようになりました。
段飾りは大きいもので横幅120センチ以上にもなり、高価なものも多いですが、豪華絢爛なお雛様を好む方に根強く支持されています。
華やかな段飾り
七段飾りは男雛と女雛のほか、三人官女、五人囃子、左大臣と右大臣、仕丁(しちょう)3人の15人を飾る、存在感のある堂々とした雛飾りです。道具も多く、太鼓などの楽器類から儀仗の剣や弓、花嫁道具一式に仕丁が持つちりとりやほうきにいたるまで、実に豪華絢爛です。
五段飾りには、15人全員を揃えているものだけでなく、10人を飾るものもあります。
サイズは大きめなものが一般的で、畳一枚分のスペースを使い、高さも1メートル以上あるものもあります。最近では、コンパクトなサイズにアレンジされた段飾りも販売されています。
三人官女も揃った三段飾り
小さいながらも重厚感はしっかりと残した、三段飾りもあります。三段飾りは一段目に男雛と女雛を、二段目に三人官女を飾ります。三段目は様々で、嫁入り道具を並べたり五人囃子がセットになっているものなどがあります。
箔一では、一段飾りながら、男雛と女雛、さらに三人官女までをセットにしたコンパクトで格式高い雛人形を用意しています。上品で優しいお顔の五人雛です。
収納ケースにもなる飾り台は正倉院の唐櫃(からびつ)をイメージしています。これは、東大寺正倉院にて貴重な宝物を守り続けたもので、雛人形をいつまでも守ってくれるようにとの願いが込められています。黒塗で鮮やかに仕上げています。